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父の時代から戦争と平和を考える

  • 執筆者の写真: synchronicity64
    synchronicity64
  • 7月12日
  • 読了時間: 6分

更新日:7月13日

父は戦時中、駆逐艦時津風と航空戦艦伊勢に乗艦し、熾烈な戦争体験をして生き抜いてきました。父の時代は戦争の時代でした。


 父は横須賀の海軍工機学校を卒業後、駆逐艦時津風に乗艦してラエ方面輸送作戦(八十一号作戦)に出撃し、B25(中型爆撃機)のスキップボミング爆撃(石を水面に投げた様にして徹甲弾を海面上に投げて艦船の土手っ腹にぶつける戦法)を受け、機関室が浸水して航行不能となり総員退去となりました。その時、姉妹艦の雪風が時津風の横に救援に来て、父達は乗り移り奇跡的に助かりました。


「・昭和18年3月2日の朝、午前7時20分、船団はニューブリテン島の西端グロスター岬の北東30マイルに差し掛かった時、米軍のB17、B24、P38、計40機と零戦33機と空中戦に入った。


・午前8時16分、零戦の網の目をくぐって、B17、3機が高度2000mで爆撃を行い旭盛丸が被弾沈没。(陸兵1500名中、918名が「朝雲」「雪風」に救助される。日没後、ラエに入港。) その後、戦闘は続いた。中略~。


・3月3日晴、雪風は夜明けと同時に輸送船団に合流。まもなく敵の大編隊(中型陸上攻撃機)が攻撃してきた。午前7時50分に米中型爆撃機B17は32機ほどであったが、8時10分には70機に増えた。「瑞鳳」(空母)の零戦41機が迎撃したが、高度3千mぐらいにB17が20機、その上にP38戦闘機約50機が支援しており、高度6千mで待っていた零戦隊は意表を突かれ、中爆B17の低空スキップボミング攻撃を許してしまった。零戦隊は不利な状況下で24機を撃墜したが、日本軍は7隻の輸送船全部(建武丸、愛洋丸、太明丸、帝洋丸、大井川丸、神愛丸など)の沈没と、旗艦「白雪」、「荒潮」、「時津風」、「朝潮」の駆逐艦4隻を撃沈された。駆逐艦8隻と陸兵を乗せた輸送船8隻で出航し、帰還できたのは駆逐艦4隻のみと大敗退であった。制空権が完全に獲得できていない状況下の悲惨な戦いであった。勝率50%の無謀な作戦であり、「孫子の兵法」の勝算が望めない時は戦ってはならないとある。日本軍はドイツ式の戦法を研究していたが、「孫子の兵法」を疎かにし、日本魂という精神論で突っ切って行ったところに敗戦の原因がある。

『雪風ハ沈マズ』強運駆逐艦 栄光の生涯 豊田譲 著 光人社NF文庫 1993.11 を要約


B17(爆撃機)ウィキペディアより掲載
B17(爆撃機)ウィキペディアより掲載
B25(中爆撃機)ウィキペディアより掲載
B25(中爆撃機)ウィキペディアより掲載

P38(戦闘機)ウィキペディアより掲載
P38(戦闘機)ウィキペディアより掲載
零式艦上戦闘機ウィキペディアより掲載
零式艦上戦闘機ウィキペディアより掲載

父と海軍の映像を制作しました。

父を救った強運駆逐艦『雪風』 「父と海軍」歴史の街・播磨

強運駆逐艦『雪風』
強運駆逐艦『雪風』

2025年8月15日 映画『雪風 YUKIKAZE』公開


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父が乗艦した戦艦伊勢の川崎造船所発行の竣工記念ハガキです。竣工当時は戦艦です。その後、強化する為に航空戦艦にしました。カタパルトを搭載し22機、飛行機を搭載していました。銃火器や装甲板も強化したお陰で、父達は沈まずに帰ってきました。

川崎造船所竣工記念葉書き(絵葉書は偶然古本市で見つけました。)
川崎造船所竣工記念葉書き(絵葉書は偶然古本市で見つけました。)
航空戦艦伊勢の雄姿
航空戦艦伊勢の雄姿

戦争と平和を『易経』から考える


 『易経』では、平和の卦は「地天泰」、天地が和合する卦です。反対に天地が和合しない卦は「天地否」です。戦争対処の卦は「地水師」です。  戦後、我々戦争を知らない世代は平和を謳歌し産業立国を目指して生きてきました。反対に父の世代は戦争の時代でした。あまりにも強烈な体験を父は海軍で経験をしています。多くの人達が亡くなりました。何故、日本人が戦争に突き進んで行ったのか、それは、大国の謀略と、その謀略に気付かなかった我が国の軍大学校卒のエリート、つまりスペシャリスト達の驕りと暴走であり、楽観的な精神主義で現実を直視する能力が無かったことに尽きます。『易経』や「孫子の兵法」の教えから照らし合わせれば、負ける戦争であったことがわかります。日露戦争に集結したトップ達は全体が見渡せ、政治が理解できるゼネラリストであったと思います。 令和の日本は、外敵がやってくる確率が高くなりました。自分達の国は自分達で守る「受益者負担の精神」で国防をしっかり考える事が必要な時代になりました。平和の時代が末永く続くように日本人全員が努力しなければならない時代ではないでしょうか。下に『易経』の解説を入れています。

参考書籍など

『雪風ハ沈マズ』強運駆逐艦 栄光の生涯 豊田譲 著 光人社NF文庫 1993.11

『黒幕はスターリンだった 大東亜戦争にみるコミンテルンの大謀略』落合道夫 著 ハート出版  

 2018.4.5

『転落の歴史に何を見るか』齋藤健 著 ちくま文庫 2011.4

『軍艦メカニズム図鑑 日本の駆逐艦』  森恒英 著 グランプリ出版 1995.1



戦争対処の道・地水師䷆


地水師(序卦伝7番目)䷆ 師  坎下坤上 【戦争対処の道】

師は衆人が集まって争う意で、集団で戦い争う卦です。上卦は坤で地、下卦は坎で水の意。大地の下に水が集まっている象意から多くの人が集まっていると解し地水師と名付けました。存亡を懸けた戦争対処の道を説いています。師は正義と大義の為に戦う武力行使です。国の存亡を懸けて戦うので、正しい大義名分が必要であり、その軍隊を統率する者は徳のある優秀な人間でなければなりません。

 「比は楽しみ、師は憂う」(雑卦伝) (師 錯卦 ䷇比)

 比は、九五の天子は他の五つの陰爻を統括し、陰爻達は君子と親しんで楽しんでいる。師は国の存亡を懸けた戦いに臨むので険難や悩み(下卦に坎)と言う憂いを包含しています。

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天地否䷋​と地天泰䷊


天地否(序卦伝12番目)䷋否 坤下乾上 閉塞・乱世対処の道】

天の気と地の気が交流しない象です。天の気は上昇し、地の気は下降し、交流、調和しないで塞(ふさ)がっています。人間関係で例えると、上下が相通じない状態です。物事や、人間関係、組織など通じないことを表しています。君子はこのような暗黒の時代に遭遇したなら才知力量を隠して時期を待ち、志を持つ臣下、賢人と平和な世が来る様に努力していく事が重要になります。

天地交流せず
天地交流せず


地天泰(序卦伝11番目) ䷊泰 乾下坤上 【天下泰平・平和の道】

この卦は安泰・やすらか、平和、天地交流の卦です。内卦は乾で天、外卦は坤で地です。天の気は上に昇ろうとし、地の気は下に下ろうとしています。それぞれ通じ交流し万物が生まれます。人間の上下関係、君臣の関係など双方の気が交流すれば事がうまく運びます。この卦を泰と呼び、双方の気が通じて調和することを表している卦です。

​ ※内卦=下卦、外卦=上卦

天地交流する
天地交流する

「否泰はその類に反するなり。」(雑卦伝) (泰䷊ 綜卦 否䷋)

否と泰は仲間や同類が正反対。否は小人の仲間が一緒に進み、泰は君子の仲間が進むのである。


泰平の時には油断せず、平和な時代が永く続くように努力しなければなりません。その事を怠ると天地否䷌の争乱や戦争に傾いていきますので要注意です。地天泰で否なる兆しを見たなら迅速に対処が必要です。常に天地否と地天泰をセットで意識しておくことが肝要です。

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