top of page

​Blog

小学校の校庭に佇む二宮金次郎の像

  • 執筆者の写真: synchronicity64
    synchronicity64
  • 6月24日
  • 読了時間: 3分

更新日:6月26日

『易経』の風山漸䷴(積少為大)の卦と地風升䷭(積少高大)の卦を見ると、二宮金次郎を思い出します。彼の思想を一言で言うと積小為大(せきしょういだい)です。つまり、「小を積んで大を致すは自然の道なり」が、彼が大自然から学んだ思想です。『易経』の風山漸は焦らず徐々に進む意となり、小さな木が時間を掛けて大きく成長する姿です。そして、地風升は従順、謙虚に焦ることなく光を求めて進み升ることは正しい道と説いています。これらの卦は彼の思想と一致します。私は農業を通じて陽明学を実行した人は二宮金次郎であると思っています。


◆全国にある小学校の二宮金次郎の像

 彼は何を読み、広げているページには何が彫られているのでしょうか。私が小学校の時代には、二宮金次郎の像は全国の小学校に在りました。最近では歩きながら読むのは危険であるから坐った二宮金次郎の像があったり、価値観の違いから無くなったりしているところもあると聞いています。彼が読んでいるのは中国古典で有名な四書五経の中の『大学』です。読んでいるページには下記の内容が彫られています。未来を担う子供たちに伝えてあげたいです。


「一家仁、一國興仁、一家讓、一國興讓、一人貪戻、一國作亂。其機如此。」


家の皆が思いやりの心を持てば、

国中の人々が思いやりの心を持つようになる

一家の皆が謙譲の気持ちを持てば、

国中の人々が謙譲の心を持つようになる

君主一人が貪欲であれば、民も倣って貪欲になり

国は乱れてしまう。重要な点は、この通りである。


※「大学」:紀元前430年頃の儒学の政治哲学と学問の書。自己修養と家庭、国、天下の平和を追求します。

身を修め、家庭をととのえ、国を治め、天下を平和に導く大学の道は、天から与えられた良知を明らかにする。つまり、万物の一体の仁の根本を立て、万物一体の仁をあまねく及ぼして民を親愛して最高善の境地、つまり良知に踏み止まることである。

三綱領

一、大學の道は明徳を明らかにするに在り。 修身斎家治国平定下の道は良知を明らかにする。

二、民に親しむに在り。 万物一体の仁の根本を立て、民を親愛する。(区別しない共生の仁)

三、至善に止するに在り。 良知に踏み止まること。


姫路市白浜小学校の二宮金次郎の像と相撲場
姫路市白浜小学校の二宮金次郎の像と相撲場

二宮金次郎の像は、日本国内に戦前からありましたが、戦後、造像会社がコンクリートで二宮金次郎を製造し、全国の小学校にセールスを行って販売拡大を図った歴史があります。文部省が推進したのではないそうです。白浜小学校の二宮金次郎さんは老朽化により像の根元より落下したらしく、現在は撤去されています。現在は再建の予定は無いそうです。寂しく感じられますが彼が読んでいた『大学』の一節は不変です。

Comments

Rated 0 out of 5 stars.
No ratings yet

Add a rating
bottom of page